
[su_box title=”簡単なキャラクター紹介” box_color=”#2fa39f”]

乙女ちゃん。走ることが大好きなランナー。陸上部で高校1年生。
好きな筋トレは腹筋。理由は「ウエストが細くなるから」とのこと。

美幸ちゃん。乙女ちゃんと同級生の初心者陸上長距離ランナー。
好きな筋トレは「スクワット」。理由は「鍛えてる感を一番感じる筋トレやから」とのこと。

乙女ちゃんと美幸ちゃんを指導するコーチ(大学4年生)。
好きな筋トレは「懸垂」。理由は「人間は重力に逆らえない事実を、身を持って知れるトレーニングだから」とのこと…。
[/su_box]
あらすじ
2日に1回ペースの自体重筋トレタイムで汗を流す美幸と乙女。
最近筋肉がちょこっとついてきたのがちょっと自慢気な乙女は、美幸やコーチにご自慢の筋肉を見せびらかそうとしていた…

見て見て美幸!この上腕二頭筋!
無駄がなくてみっちり詰まってるって感じ!なんかすごない?
最近は腹筋もええ感じでウエストが綺麗になって、証拠にほら…

こら、乙女!シャツめくるのやめんか!
向こうにサッカー部の男共がやらしい目で見とるで!
あんな奴らに見せたらアカン!

…あ、ごめん、つい舞い上がっちゃった。

まぁ、筋肉がついてきたら、人に見せたくなるんはわかるけどTPOはわきまえへんとな。

…いきなり「生理来とるか?」って聞くコーチらしからぬまともなセリフ…意外や

いや、さすがに教え子が目の前で脱ぎだしたら私でも止めるで…流石に

でも、乙女。
そんなに筋肉鍛えてどうすんの?
ムキムキになったら長距離走りにくくなるんちゃうの?

ムキムキを目指しとるわけちゃうよ。
でも、やっぱこうやって筋肉が付いてるがわかると、
なんか「ちゃんと育ってきているなぁ…」って感じんねん!

乙女って結構感受性豊かやねぇ‥

ところでコーチ!
この調子で今の筋トレを2日に1回ペースから
毎日に変えたらもっと筋肉が鍛えられますか?

残念やけど乙女…
実は筋トレは毎日やればええってもんやないんやで。

え、そうなんですか?

毎日レベルの高い筋トレをしたら、疲労やダメージがたまって筋肉が十分に回復できひんのや。
回復できひんと筋肉は弱くなってしまうだけでなく、怪我の元になる。

そこで大事なんがある程度時間とって休むこと。
休むことで筋肉がちゃんと回復して、より強い筋肉に成長するんや。
これを「超回復」っちゅうんやで

(超回復…!なんかよくわからへんけどすごそう!「超(スーパー)」が付いているんやし!)

超回復ってただ回復するだけやなくて、前より強くなるってことなんすか?

お~いい質問やね、美幸!
ほならちょうどええ機会やさかい、今日は超回復についてねっとり説明していこか!

はい、ねっとりとお願いします!

…お、おぉ…期待に添えるよう頑張るわ(汗)
…はい、ということで、今回は筋トレやウェイトトレーニングで必ず知っておきたい用語の筆頭格「超回復(ちょうかいふく)」について説明していきます。
超回復を知れば、「休むことも練習のうち」という考え方が、よくわかるようになるのでしっかり覚えておきましょう。
[post_ad_1]
超回復とは
筋トレのような筋肉に負荷(体重やウェイト)をかけるハードなトレーニングをすると、一時的に疲労がたまって一時的に能力が下がりますが、その後に一定時間休養をすると、元の能力に戻るだけでなく、トレーニング前よりも高いレベルに回復します。
これを「超回復」といいます。
超回復には4つの段階があり、以下の図のように筋肉の能力が変化していくことがわかっています。
第1段階 疲労
トレーニングで疲労がたまって筋肉のパフォーマンスが低下している状態。
当然、トレーニング開始前よりも低いパフォーマンスになっているのでもとのパフォーマンスに戻るためには休息が必要です。
第2段階 回復
休息をとることでパフォーマンスが回復している段階。
トレーニングにより枯渇したエネルギーがこの段階で補給され、ダメージを受けた筋肉(筋繊維)の修復が行われる超回復にとって大切な期間です。
第3段階 超回復
適切な休息を取ることでトレーニング開始前よりも高いパフォーマンスが出せるまで回復した状態(=超回復)。
超回復が完了することで前より高いパフォーマンスを出せるようになるだけでなく、前と同じトレーニングを行ってもパフォーマンスが落ちにくくなる、疲労の回復が早くなるといった側面もあります。
暑さや寒さなどの厳しい環境に体が順応していくように、激しいトレーニングでも体がへこたれないように慣れたという証。
第4段階 退行
超回復の効果が続いている期間内に、再び体に負荷をかけないままでいると、超回復の効果は消えてトレーニング前のレベルに戻ってしまいます。
よって、更なる身体能力の向上を目指すには超回復の期間中に更なる超回復が起こるトレーニングを行う必要があります。
また、超回復の時のパフォーマンスを維持するには同じトレーニングを定期的に繰り返すことになります。

超回復して筋肉が前より成長しても、そこでトレーニングをストップしたら始める前に戻ってしまう…これが「退行」。
超回復の理論を知る上では意外と見落としやすいポイントやね。

部活を引退して体がなまるのは、実は今まで超回復してた分が退行で全部戻ってたってオチか…

せやね。退行を防ぐには部活を引退しても、定期的に運動するんが大切。
一度付いた筋肉は、ほっとくだけでは維持できひん。定期的に負荷をかけてちゃんと使わんとアカンのやで。
[post_ad_2]
超回復を筋トレに活かす時のポイント
ちゃんと回復してから筋トレを行う
疲労がしっかりと回復していない状態で次のトレーニングを行ってしまうと、更に疲労が溜まってしまいオーバートレーニングになってしまうことがあります。
「休養も練習のうち」という言葉にもあるように、しっかり体を休ませるのは超回復をさせて筋肉を鍛えるだけではなく、怪我を防ぐという目的もあります。

休養が足りてへん状態で練習を続けて、いわゆる使いすぎによるスポーツ障害になったら、それこそ長期間トレーニングができなくなる。そうなると、せっかく今まで鍛えた分がチャラになってしまう事もある。
数日休むのをとるか、数週間~数ヶ月休むのをとるか、やったら前者を選ぶのが長い目で見て賢い選択やな。
休息の時間は人によって違う
休息は重要と説明しましたが、休息の長さ一般的に48時間~72時間(中2日~3日)必要と言われています。
しかし超回復にかかる時間には個人差があり、トレーニング歴が長い人は2日未満の休息でも問題ありませんが、トレーニング歴の浅いは3日よりも長い休息が必要になることがあります。
トレーニング歴の他にも年齢や身体能力、トレーニングの内容によって超回復に必要な時間は異なってきます。

激しい運動をしたら、次の日に「筋肉痛」になる経験をするのは誰にでもあることやね。(なお、年を取ると翌々日に筋肉痛が出る事もある)
初心者の場合やと、筋肉痛が完全に無くなったら次のトレーニングを始める合図と考えるのがわかりやすい。
ただし、続けていくうちに筋肉痛にならなくなったから、休息の時間を短くしてもOKというわけやない。
筋肉痛がなくても、なんとなくだるい、疲れを感じてるんやったら、しっかり休息して回復するのを待つのが大事。
誰かと比べず自分にあったトレーニング頻度を見つけるようにするんやで。
回復のために「タンパク質」を取る
回復の為には休養だけでなく栄養も必要になります。
筋肉のもとになる食べ物と言えば「プロテイン」をイメージする人は多いと思いますが、プロテインに多く含まれているのは三大栄養素の1つ「タンパク質」です。
タンパク質を摂取するのは運動終了後45分以内が目安。45分以内であれば吸収率が高くなるということがわかっています。
もちろん普段の食事でも意識的にタンパク質が多く含まれている肉、魚、乳製品、卵、大豆製品などの食品を食べるように心がけましょう。

運動後すぐにタンパク質の多い食事が食べられへん場合は、プロテインを使ってサッと補給するのは効果的やね。
ちなみに激しい運動をしている場合、1日に必要なタンパク質は体重1㎏あたり1.2~2.0gと言われている。これを全部食事で取るのが難しい場合はプロテインで補助的に取るのもアリやね。
慣れてきたら負荷を上げていく
超回復が起きた時点で次のトレーニングを開始する場合、以前のトレーニングよりも少しウェイトを増やして負荷を上げることで、更に超回復が起こり身体能力が高まります。
これは「オーバーロード」の原則といい、ある程度今のトレーニングに慣れたら更に負荷を上げる。その負荷にも慣れたら更に負荷を増やして…という具合に徐々に強い刺激に対して、体が順応していきます。

当然やけど、負荷が増えればその分故障や怪我のリスクも高まる。
急に負荷を上げたりせずに、ちょっとずつ上げることが大切やね
もしも、毎日筋トレする場合
筋トレに慣れてくると、毎日体を動かさないとウズウズしてくる事もあるかと思います。
その場合は、上半身を鍛える日と下半身を鍛える日と分けるという方法があります。
上半身が回復期間中に下半身を鍛える、下半身が回復期間中に上半身を鍛える、というメニューにすることで毎日筋トレをすることもできます。
ただし、この場合全身の疲労が徐々に蓄積してしまい、オーバートレーニングになってしまう事もあります。
休息が足りないと感じていれば毎日という縛りにこだわらず、適宜休息を入れて回復するのを待つようにしましょう。
[post_ad_3]
あとがき

そういえば強豪校やと毎日腹筋とか腕立てとかのノルマが決まってる場合もありますけど…
その場合は超回復ってどうなるんですか?

その場合は筋トレの強度が低いから、毎日やってもあまり筋肉にダメージが残らないと考えられるね。
例えば初心者が毎日ランニング始めたときに、最初のうちは筋肉痛でヒーヒー言うハメになった。せやけど次第に慣れて筋肉痛も出なくなって、毎日走っても大丈夫になることがあるやろ。
毎日筋肉を鍛えても大丈夫なんはそれと同じ。筋肉がトレーニングに慣れてきた言えるね。

…あれ?
慣れちゃったら超回復しないような気が?

お~鋭いねぇ~。
超回復が起きなくなるのはトレーニングの強度に筋肉が慣れてしまったから。
ここから更に超回復させるには、負荷を上げるのが必要になる。

せやったら毎日筋トレしとるのって意味ないんですか?

そうでもない。
毎日できるような低負荷な筋トレは、筋持久力をアップさせる効果がある。ただ、低負荷やからと言って毎日やらなアカンというわけでもない。週に2、3回でも十分OKや。
まぁ、無理に強豪校の真似したら故障してしまうリスクもあるさかい、自分のレベルにあった負荷や頻度を見つける方がまずは大事やね。

あと、超回復のためには休むだけやなくて栄養を取ることも大事。
タンパク質の多い肉や魚、卵、乳製品、豆腐や納豆などをしっかり食べること!
できれば筋トレ後は素早く、目安は45分以内にタンパク質を補給するのがコツやで!

ところで乙女?
さっき言ってたけど腹筋がどうなっとんのか後で見せてくれへん?

…えっ!
流石にそう言われると見せるの恥ずかしいんですけど…

乙女…こういう誤解を生むから、気軽に脱ごうとしたらアカンねんで。

ホンマやな美幸。よーわかったわ

(…ん?私もしかして精神レベルが、高校生男子と同じと思われとるんか?)
参考書籍など
イラスト・ストーリー : シロカネ