
[su_box title=”簡単なキャラクター紹介” box_color=”#2fa39f”]

乙女ちゃん。走ることが大好きな陸上長距離専攻の高校1年生ランナー。
たくさん走るせいで早ければ3ヶ月でシューズがダメになってしまうことが多く、お財布的に色々厳しいお年頃。

美幸ちゃん。乙女ちゃんと同級生の初心者ランナー。
ランシューは初心者用のものをずっと履き続けているが、そろそろスパイクやランシューに履き替えてみたいお年頃。

乙女ちゃんと美幸ちゃんを指導するコーチ(大学4年生)。
長年履き続けたランシューは全部捨てずに保管しているらしい。本人曰く、「なんだか捨てると寂しくなるから」と、意外にセンチメンタルな一面もあるらしい。
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あらすじ
再来週に行われる陸上の大会に向けて、陸上長距離用のスパイクを買いに行こうと決意した美幸。
しかし、初心者なのでどんなスパイクを買ったらいいの全く分からず、乙女とコーチに一緒に来てもらうようにお願い。
そしたら、コーチは「ちょうど美幸にスパイクについて教えたかったところや!」とのことで、部活終了後に京都市内某所にある「スポーツヤツハシ」へとスパイクを買いに行くことになった。

やってきました、スポーツヤツハシ!

京都でランシューを買うならこの店で買う人は結構いますよね。
かくいう私もここでいつも買ってますけど…

今回はランシューやなくてもスパイクやね。
陸上競技やと中長距離はランシューのままって人もおるけど、スパイクもちゃんとあるで。

そういえば陸上のスパイクって、ランシューと違ってトゲみたいなんがついてますよね?

ピンのことやね。ランシューとスパイクの大きな違いとも言える部品。
ピンの長さは種目によって違うし、種目に合った長さを選ばんと怪我やペースダウンの元になってしまう。

初心者の場合やと、スパイクはともかく
どのピンを選んだらええんかさっぱりわからへんって事もよくありますよね…
実際に私もそうでしたし…

あの、コーチ!
私あのスパイク履いてみたいんですけど!

ほなら美幸
まずは脱いで

…は?
いきなり何言ってはんのこの人?

ん?
「靴を」脱いでって意味で言ってるんやけど…

あれあれ~?
何を勘違いしとんかなぁ~美幸はん?

…うぇぇ…
私としたことがこんな低レベルな勘違いをするなんて…。

(他人のフリして店内うろついとこうかなぁ…)
…ということで、今回は陸上中長距離のスパイクの選び方についてまとめていきます。
スポーツヤツハシ…元ネタは知っている人は知っている京都の某有名スポーツ店ですね。京都市中心部のおしゃれな街並みにあるお店なので、元ネタがわかった方は一度訪れて見るのもいいでしょう。
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陸上中長距離でスパイクを選ぶ時のコツ
普段の練習で使うトレーニングモデルのランシューやレーシングモデルもランシューと比べて、陸上競技のトラックで使用することをメインに作られているスパイクは、短距離走や投擲・跳躍種目では必須アイテムです。
本格的に陸上をやっていたり、自己ベスト更新や上位入賞を狙うために走っている人にとっても、大会をスパイクで走るのは効果的といえます。
ランシュー同様試し履きは必ず行う
スパイクを選ぶときもランシュー同様に試し履きを必ず行うようにしましょう。
実際に履いてみて、縦のサイズだけでなく横幅がキツキツにならず、ブカブカにならないものがおすすめ。踵がとシューズがピッタリ合うものを選ぶようにしましょう。
目安は実際にスパイクのなかで足の指を動かせるぐらい。長さにしてつま先と先端の長さが5mm程度です。
また、ランシューとスパイクの大きな違いは、スパイクの裏に取り付けるピンの有無です。
試し履きの時点で足の指の付け根部分と足の指のちょうど上にピンがあるものを選ぶようにしましょう。
なお、大きすぎるスパイクの場合、足の裏でピンの推進力を活かす事ができず、ペースダウンやフォームが崩れる原因になってしまいます。

陸上初心者でまだ自分の種目が定まっていない場合は、走・跳・投のどの種目でも使えるオールラウンド用のスパイクを選ぶと後々便利やね。
スパイクはピンを変えて土・タータンどちらでも使えるように
普段の練習は土のトラックなので、タータンで走るために買ったスパイクは使えない…というわけではありません。ピンを付け替えられるスパイクだと、土・タータンの両方で使うことができます。
後述しますが、スパイクのピンには土用とタータン用の2種類あり、ピンを付け替えることで土のトラックでもスパイクを履いて走る事ができます。
初めてスパイクを買う場合は、土とタータンどちらでも使えるスパイクを選ぶようにしましょう。

土トラックは「アンツーカー」または「アンツーカ」と呼ぶ事もある。
アンツーカーはかつてはテニスのクレイコートや、野球のマウンドで見かける赤茶色(赤褐色)の土そのもの指す言葉やったけど、今では「土=アンツーカー」という意味でも使われるようになっとるね。
ちなみに、元はレンガを砕いた土が使われていたから、地面が赤茶色やったという歴史もある。

レンガを砕く…任天堂にそんなヒゲブラザーズがいましたよねぇ…。

某ヒゲブラザーズよりもアンツーカーの方が歴史は古い。
アンツーカーは1928年のアムステルダム五輪以降に急速に広まったという歴史があるんやで。
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陸上中長距離のピンの選び方
ピンの種類について
陸上中長距離で使うピンは土トラックの場合と、ゴムで出来ている陸上競技用のタータントラック(オールウェザー)の2種類あり、
- 土トラックの場合は先端が鋭く尖っているピン
- タータントラックの場合は先端が四角いピン
を使う仕様になっています。

アタッチメント(あるいはレジナスガード)はピンをはめるときに使うドーナツ状の部品のことやね。
土トラックで走る場合には必須の部品。
工具のボルトとナットでいうナットのような役割がある。
ちなみに、旧式のタータントラックでは、タータン用ピンでもアタッチメントが必要になる場合もある。詳しくはミズノの公式サイトで確認してみるとええで。
ピンの長さについて
土とタータンではピンのデザインだけでなく、長さも異なっています。
主な陸上競技用スパイクメーカーのアシックスとミズノでは、長さは以下のように決められています。
土(アンツーカー)トラック
陸上中距離(800m、1500m)の場合
- アシックス : 9mm
- ミズノ : 9mm
陸上長距離(3000m、5000m、10000m)の場合
- アシックス : 7mm
- ミズノ : 6mm
ミズノとアシックスで同じ長距離用なのにピンの長さが微妙に1mmだけ違っています。
「長距離だからピンの長さも全メーカーどれも同じ」というわけではないんです。
タータントラック
陸上中距離(800m、1500m)の場合
- アシックス : 7mm
- ミズノ : 7mm
陸上長距離(3000m、5000m、10000m)の場合
- アシックス : 5mm
- ミズノ : 5mm (※1 トッピングトラック用ピンの長さ)
となっています。
※1トッピングトラック:試合用の旧式タータントラック。表面がチップ状で凸凹になっているオールウェザートラックの事。なお、凸凹の無い新しいトラックは「ノンチップトラック」と呼ばれています。

小中学生の場合やと1500mは長距離扱いやけど、高校や大学では中距離扱いになることがあるね。
また、女子なら1500mは長距離扱い、男子は中距離扱いというケースもあって、長距離走と中距離走の境目は結構アバウトになっている。
もしも自分がエントリーした種目が長距離なのか中距離なのか判断に迷う場合は、念のため両方のピンの長さで試して、どちらの方が足やフォーム、ペース配分などに合っているかを確認してから決めてみるというやり方でもOKやね。
練習・試合用と2種類のピンを買うのがオススメ
スパイクのピンを買う時は、スパイクを普段の学校での練習と試合との両方で使うためにも、土用とタータン用の2種類を購入するといいでしょう。
ピンは長ければ長いほど推進力が生まれますが、その分足への負担も大きくなるので、初心者の場合ピンの長さを上で書いた長さよりも一回り小さいものに変えて、足に問題がないか確かめてみるのがおすすめです。
また、土トラックで練習する場合は、練習後は土や水分をしっかり取り除く。土用、タータン用ともにコンクリートやアスファスルトのような硬い路面を歩いてしまうと、ピンの先端が削れてしまうとスパイクの性能が下がってしまったり、バランスを崩してこける原因にもなります。
ピンの替え時は、土用・タータン用ともに先端が削れて丸くなったとき。加えて、土用は2mmほど削れたら交換するようにしましょう。

ちなみに、スパイクとピンが一体化している陸上長距離用のスパイクも販売されている。(例:ミズノのクロノディスト 7など)。
ピンの交換が出来なく土トラックで使えない仕様やけど、長距離のトラックレースのためのスパイクとして設計されている特化型シューズとも言える。(…ただし、その分お値段もわりと高め…マジで)
大会によってはピンの長さに制限があることも
上で各距離のピンの長さをまとめましたが、実際の大会では種目によってピンの長さに制限が決められていることがあります。
出場前には自分が出る大会の要項をしっかり確認した上で、ピンの長さを選ぶようにしましょう。
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もちろん駅伝、ロードーレース用のランシュー兼用でもOK
普段からスパイクを使わない、レーシングモデルのランシューの方が慣れている場合は、ランシューだけでトラックのレースに出場しても問題ありません。
陸上長距離の場合、短距離や中距離と比べて駅伝やマラソンにも出場するのでトラック以外の場所を走る事もあります。
春~秋にかけてはトラックレースに出場、秋~春にかけてはロードレースに出場する長距離ランナーは多いので、下手をすればスパイクを買っても半年間ほど使わないままという事もあります。
また、スパイクとランシューの2種類を買うのが面倒だったり、管理する手間やお金が無いのでランシュー1本に絞るというやり方もあります。
スパイクの購入を検討する場合は、1年を通して自分が出場するレースのスケジュールや出場するレースの数に応じて、購入するかどうかを決めるてみるのがいいでしょう。
なお、ランシューと比較するとスパイクの方がトラックを走るときに推進力が生まれやすく、自己ベスト更新がしやすいのが特徴といえます。トラックレースでガンガン自己ベスト更新や勝負を狙いに行くランナーなら、スパイクを買うのがオススメです。

ちなみにやけど、スパイクのピンは使ったらしっかり土や水分を取り除いておかないとサビの原因になってしまう。
とくに、ピンとスパイクの接続部分がサビるとピンの取り外しができなくなって、スパイクとして使いもんにならへんようになるんやで…。
スパイクは決して安い買い物ちゃうから、ランシュー以上に手入れやメンテが大切になるんやで。それがめんどくさい場合は、ランシュー一本というやり方もあるね。
あとがき

ええスパイクがあってよかったわ~。
このスパイクで大会も絶対安泰やな!

スパイク買って記録が良くなったって話はよく聞くけど
やっぱり日頃の練習をしっかりしてへんと記録は出えへんもんやで。

スパイクで必ず足が早くなるわけないことぐらい分かってますよコーチ!
でも、高いシューズ買ったから、なんかいい記録が出そうな気するのはわかりますよね?

まぁ、その気持ちは私もよ~わかるな。
お目当てのええスパイク探すために、ネットで最安値を調べまくった事もあったっけ…。

そういえば美幸の買ったスパイクって
ネット通販ならいくらで買えるんやろ…?

ちょ、乙女それだけはアカン!
せっかく買ったのに気分が台無しになるやん!

え~…でも、気にならへん?
ひょっとしたらもっと安く買えてたかもしれへんねんで。

そりゃそうやけど…でも、ほら!
安さよりも大切な何かがきっとあるはずやろ!

美幸の言うとおりやね。
実際に店頭で売っているスパイクと同じモデル、同じサイズをネット通販で買っても、微妙に出来が違って足に合っていないという事もある。
最安値に釣られて買ってしまうと気がついたら無駄遣いになってたなんて経験もあったなぁ…。

実際にネットの方が安かったとしても、その差額は足にフィットするかどうかの
確認料みたいなもんやと考えた方がええってことですよね。

そういうことやね。
いくら工場で作っているとは言え、1足1足微妙な違いはあるのが自然なんや。
店頭の場合は試し履きもそうやし、店員さんに相談できるという点が大きいさかい、ネットで買うのが必ずしもええわけではないんや。

とくにスパイクやランシューのような高くて実際に身に付けるものは
そのへんはケチらんようにするのが賢いお買物の仕方っちゅうわけや。

そういえば、スポーツヤツハシって
いつも年末年始にセールもやっていたような気も…。

乙女…そろそろ黙らんか…
あんた主婦みたいでなんか嫌や

主婦ってなによ!
ええもん安いもん求めて何が悪いねん!

こらこら二人共!そのへんにしとき!
多少高かろうが安かろうが、今欲しいと思ったスパイクは二度と手に入らへんもんやと思えば
ちょっとの値段を気にするんは野暮ってもんやで?

…コーチってなんか時々かっこいいこと言いますよね

またまたぁ…私は決めるところはビシッと決めるええ女(オンナ)やで。
見くびらんといてや~乙女はん!

(そうやってすぐボケに走らなければ…もう少しマシな大人に見えるんやけどなぁ。)
イラスト・ストーリー : シロカネ