
[su_box title=”簡単なキャラクター紹介” box_color=”#2fa39f”]

乙女ちゃん。走ることが大好きな陸上長距離専攻の高校1年生ランナー。
ふくらはぎの筋肉にはそれなりに自信があるらしい。

美幸ちゃん。乙女ちゃんと同級生の初心者ランナー。
冬はふくらはぎがむくんでパンパンになるのが悩みだとか。

乙女ちゃんと美幸ちゃんを指導するコーチ(大学4年生)。
何がとは言わないが、揉むことやマッサージには長けているとか…。
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あらすじ
連日の走り込みとここ最近の冷え込みで、練習後はいつもふくらはぎがパンパンにむくんでしまうのが悩みの美幸ちゃん。
練習後にふくらはぎがパンパンにむくんで「もう動けへん~(><)」と、座り込んいるところにコーチが何かよからぬ顔をして近づいて来るのであった…。

今日の練習もめっちゃ走ったから、足がパンパンにむくんどるわ~もう走れへんわ~

ホンマやな~ふくらはぎが子持ちししゃもみたいにパンパンになっとるな~(美幸のふくらはぎを揉みながら)

ちょ、いきなり触っとるんすか!
変人!
変態!!!
変質者!!!

許可なく教え子に手を出すのはさすがに鬼畜の所業ですよ!
せめてOKもらってから触りましょうよ!

…乙女、そのコメントはちょっと違うと思うで。

でも触ってみてわかったけど、かなりむくんどるなぁ…

ほんまにそうですよ!足が棒になったみたいで、もう一歩も動けまへんわ。

そうか…ほな、あれやな…今から10分ほどゆっくり走らなあかんな。

…ん?なんか話が噛み合っていない気がしますけど?

もしかしてクーリングダウンの事言ってるんですか?

そう、クーリングダウン。
練習終わって足パンパンになってる状態のままへたり込むと疲労回復に影響が出る。せやから、激しい運動の後はゆっくりでもいいから走るなり歩くなりで身体を動かして血流をよくすることが大事。

あぁ~なるほどね、クーリングダウンのことか。

でも、クーリングダウンって「走る」以外でもできますよね?。

せやね。軽い運動やから、ゆっくりとしたジョギングとかウォーキング、エアロバイクでもOK。後はストレッチやアイシング、マッサージでもええんやで。

もしも美幸がどうしてもお望みなんやったら、私が直々に「特別なマッサージ」をしてもええんやけどね♥

さ、はよ走りに行こ。ちゃんと血流戻さなアカンな!

……逃げたか。

コーチ…さすがに今のは指導者として鬼畜を通り越してアウトやと思います。「教え子にマッサージと称してうんたらかんたら」ってよくニュースで見かけるアレなコーチになっちゃいますよ。

…すんまへん。

あ、でも個人的に興味がありますので後で私にそのマッサージしてください!

お、乙女はん!ホンマにええの?

はい!私はコーチを信用してるので、是非「特別なマッサージ」を受けてみたいです!

…気持ちは嬉しいけど、誤解を招くからあんまり他所でそういうこと言わんときや。(元はといえば、私が変なこというたのが原因な気もするけど…。)
ということで、今回はクーリングダウンについてです。
練習や試合のスケジュールは「ウォーミングアップ→メイン練習(or試合・大会)→クーリングダウン」で組まれるのが一般的なので、前回のウォーミングアップと合わせてこの記事を読むことをオススメします。
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クーリングダウンの効果
クーリングダウンとは、激しい運動によって生じた疲労を回復させるために行う負荷の軽い運動のことです。「クールダウン」や「ダウン」と略されて使われることもあります。
クーリングダウンには疲労回復、スポーツ障害などの怪我の予防、心肺機能への負担の軽減などの効果があります。個別に説明していきます
運動後の疲労回復を促す
激しい運動の後は体内に疲労物質が発生しています。この疲労物質は軽く運動をして血流を促進することで、除去が早まります。
また、軽い運動で血流がよくなると疲労物質を除去するだけでなく、血流に乗せて栄養を全身に早く届けることもできます。

クーリングダウンには疲労物質の除去と、疲労した筋肉への栄養補給の2つの側面があるということを覚えておくんやで。
怪我・故障の防止
激しい運動で筋肉を酷使すると筋肉の柔軟性が低下します。具体的には、筋肉に緊張や強張りが生じる、関節の可動域が狭くなる、体の動きがにぶく感じるといった状態になります。
筋肉が硬く硬直している状態のままだと、筋肉内の血流が滞り疲労回復が遅れることによる故障や、肉離れのような突発的な怪我を引き起こしやすくなります。故障まで行かないとしても、可動域が狭まったままでは、思うように体を動かすこともままならなくなってしまいます。
クーリングダウンには運動で硬くなった筋肉をほぐす作用があり、筋肉をもと柔軟性に戻すことで、先に述べた怪我や故障を防ぐという役割があります。

血流が滞り筋肉の細胞に酸素や栄養がストップすると、細胞は死んでしまう。これを「二次的低酸素障害」と言う。
当然細胞が死んで筋肉にダメージが残らないためには血流が滞らないよう気をつけなアカンね。
心肺機能に過度な負担をかけるを防ぐ
激しい運動の時は心拍数が上昇し、全身を巡る血流量が多くなります。
しかし、その状態から急に運動をやめると、血流量が急に減ってしまい心臓に過度な負担をかけてしまうことになります。その結果、立ちくらみやめまい、吐き気、むくみなどの症状が起きることもあります。
クーリングダウンは激しい運動から軽い運動へとスムーズに切り替えて行くことで、血流量の急激な変化を防ぎ心臓への負担を軽減することができます。

なんかクーリングダウンって、飛行機が安全に着陸するためにやるソフトランディングみたいですね。

ええ例えやね。血流量の急激な増減は心臓に過度な負担をかけてしまう。
ウォーミングアップは体の血流量を徐々に増やして激しい運動へと身体を備え、クーリングダウンは増えた血流量を徐々に減らして平常時に戻していくという役割がある。
緩やかに身体の調子を上げるor下げるのは、コンディションを整えるための基本やね。
補足:ミルキングアクションについて
スポーツと血流の変化を説明するさいに「ミルキングアクション」という言葉を使うことがあります。
直立状態のときは当然ながら血液にも重力がかかります。血液に重力がかかることで、下半身の血液は上半身に比べて重力の抵抗を強く受け、一度心臓を出てまた心臓に戻ってきにくくなります。その結果、下半身血流が滞ってふくらはぎがむくむ、パンパンになるということが起きてしまいます。
滞った下半身の血流をちゃんと心臓に戻すときに、足の筋肉を動かすことで心臓に血液を送り返すことをミルキングアクションと呼び、適度なウォーミングやジョギングで下半身の筋肉を使いミルキングアクションを発生させることで、下半身の血液の循環を補助することができます。

ミルキングアクションのミルキングは英語になおすと「乳搾り(milking)」という意味。
牛の乳搾りで搾乳しやすい効率的な握り方があるように、血流を全身に戻すのにも効率的な方法があるってことなんやで。

(…って、まじめに説明しとるけど「乳搾り」と「搾乳」を普通に口にするのは割と恥ずかしい…)
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クーリングダウンのやり方
ウォーキング・ジョギング
ウォーミングアップ同様にクーリングダウンで行う軽い運動の代表格。下半身の筋肉を動かしミルキングアクションも起こるので、下半身に溜まった疲労の回復も促進できます。
ランニングやマラソンのように脚の筋肉つかうトレーニングや大会の後には、急に止まらずまずはゆっくり歩くようにしましょう。

ちなみに、心拍数を基準にしてクーリングダウンに適した運動強度を設定することもできる。その場合の心拍数の目安は100~130回/分程度が目安。
ストレッチ
ストレッチは運動で柔軟性が落ちた筋肉を元に戻す。筋肉の柔軟性を戻すことで疲労物質の除去を促すことができます。
このとき行うストレッチは、ラジオ体操やスプリントドリルのような動的ストレッチではなく、屈伸のような静的ストレッチを行うようにしましょう。
静的ストレッチは1つあたり15~20秒を目安。とくに疲労感を感じる部位やトレーニングで多く使った筋肉は長め行うようにしましょう。

練習後に急に止まるのはアカンから、ウォーミング(orジョギング)で呼吸を整えてからストレッチをする、というやり方やと心臓に負担がかかりにくくスムーズにできるね。
マッサージ
疲労が溜まっている筋肉をマッサージによって揉みほぐすことで血流を良くして疲労回復しやすくなります。
マッサージ方法は、揉むほぐす意外にも、リズミカル叩いたり、持続的に圧迫したり、掴んで揉むなど各種あります。
また、マッサージにはメンタル面でもリラックスできる効果も期待できます。

もちろん、マッサージは誰かにやってもらうだけなく自分一人でもできるよね。
でも、太もものうら(ハムストリング)とか、背中とか手の届かない筋肉のマッサージをするときは、誰かにお願いするとええね。
アイシング
身体の一部を氷や冷水・保冷剤などで冷やすことで、筋肉の張りや痛みを抑えると同時に血管が縮んで一時的に血流量を抑制します。
その後アイシングをやめることで、縮んだ血管が元に戻り血流量が活性化(=リバウンド効果)し、疲労物質の除去を促進するという狙いがあります。
クーリングダウンの一貫としてアイシングを行うの目安は10~15分ほど。皮膚の感覚がなくなるまで冷やすようにしましょう。

ちなみに、肉離れなどの怪我の応急処置にやるアイシングには、細胞の新陳代謝を低下、身体の外から見えないレベルの内出血や炎症を防ぐ、細胞の壊死を小さくするなどの目的があるんやで。
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あとがき

まぁ、あれこれ言ったけど、実際は練習時間が短いとかでクーリングダウンを省略して、そのまま練習を終えてしまう、なんて事はよくある。

下校時間が早かったり、練習後の予定が詰まっていると、どうしてもメインの練習に時間を割いて、ウォーミングアップやクーリングダウンが雑になるって事はよくあると思うね。

体育の時間は結構そういうことありますね…。着替えとか次の授業の準備があると、のんびりクーリングダウンなんかできませんし…。

できれば運動後はクーリングダウンの時間をきっちり取るのがベストやけど、どうしても時間が足りなくてできない場合は、家に帰ったあとにストレッチをするとか、入浴中にマッサージをするようにして、少しでも身体を労わるようにするのがええね。

そして、クーリングダウン同様に大切なのが、栄養補給と睡眠!
トレーニングはただ闇雲にやるだけやなくて、しっかり身体を休めて回復させることでその効果が最大限に発揮される。

この前習った「超回復」でも言ってた事ですね!

せやね。トレーニングの効果を高めるのなら、運動・栄養・休養の3つのバランスが大事ってわけやから、ちゃんと栄養のあるもん食べたり、夜更かしせんことが大事やで。

栄養のあるもんか…ボディビルダーみたいに鶏胸肉食わなあかんのですか?

肉類に限らずタンパク質が多い魚とか乳製品、大豆製品を摂るのは大事やね。
もちろん、プロテインでタンパク質補給するっていう方法もある。

一応聞きますけど、プロテインってドーピングになりませんよね?

普通にスーパーとかで買えるザバスみたいなプロテインは、あくまでも「食品」の一種にすぎひん。
プロテインを選ぶときはJADA(日本アンチ・ドーピング機構)の認証を受けているものを選べば問題ない。心配やったらJADAのホームページで確認することやね。
(※参考:JADAサプリメント分析認証プログラム)

まぁ、自分が食べるものについて色々調べてみるのは、スポーツするなら大切なことやとは思うね。

ほんまにそうどすなぁ…。

…そういえば美幸、今はふくらはぎの調子はどうなん?

多少はマシになりましたよ。
…あ、先に言っておきますけどマッサージは遠慮しときます!(キッパリ)

まだ何も言ってへんのに…そんな警戒せんでも…

マッサージ結構気持ち良かったのに、美幸もったいないなぁ…

え?あんたマッサージ受けたん?
卑猥なこととか、やらしいことされへんかった?

何も変なことはされてへんよ。ただ、心臓に血を送るように足の筋肉を揉む感じのマッサージやったで。

ほ~ん…いたってまともやね。もっと足ツボみたいに痛いとか、激しいとかそういうのを想像しとったわ。

もしもその気なら、私がコーチから教わったマッサージをやってあげてもええよ!

う~ん…そう言うんやったら、乙女なら私のふくらはぎにお触りOKを出してみよか。

…というかんじに人にマッサージをするときは手順を踏むのが鉄則ですよ、コーチ?。
いきなり触るのは鬼畜の所業!「親しき仲にも礼儀あり」ですよ!わかりましたか?

まさか、そう来るとはね…いや~乙女はん、ほんまに参考になりますわ~

(手順を踏んでもOKするかどうかは別の話やで…とくにコーチの場合は!)
参考書籍
イラスト・ストーリー:シロカネ