
[su_box title=”簡単なキャラクター紹介” box_color=”#2fa39f”]

乙女ちゃん。走ることが大好き高校1年生。陸上部の長距離ランナー。
筋トレは体で覚えるよりも頭で覚える派らしい。

美幸ちゃん。乙女ちゃんと同級生の初心者陸上長距離ランナー。
筋トレは体で覚える派。本人曰く、「考えるんやない、感じるんや」「筋トレは慣れで覚える」とのこと。

乙女と美幸を指導するコーチ(大学4年生)。
筋トレは鏡を見て覚えるのが一番。鏡がないときは自分で動画撮影しているらしい。
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あらすじ
この前の「超回復」を思い出して、コーチにねっとりと教わった筋トレをコツコツ続けていく乙女と美幸。
最初のうちはなんだかおぼつかないフォームだったが、だんだん慣れて成長しているのが目に見えて分かってきたところで、コーチは更なるステップアップをしようと思いついた。
ええ感じのタイミングを見計らって美幸と乙女にとっておきの「トレーニングのコツ」なるものも伝授しようとしているみたいだ…。

ほほ~ん…2人とも腹筋・腕立て・背筋・スクワットのフォームが
前と比べてええ感じになっとるなぁ…その調子で頑張るんやで!

ありがとうございますコーチ!
コーチがしっかり褒めてくれるから、とってもやる気が出ます!

乙女はコーチに褒められるんが好きなんやねぇ…
なんか尻尾振って喜んどる犬みたい。

え、褒められたら嬉しくなって、やる気が出るもんちゃうの?

うんうん!褒めて伸ばすんもコーチの仕事やで!
ちゃんと褒めてやる気が出るんやったら私はちゃんと褒める人間やで。

…で、やる気が出たところで私から2人に
とっておきの「トレーニングのコツ」を伝授したるわ!

トレーニングのコツ…?

…なんすかいきなり怪しいこと言って。
まさか、このためにおだてたやないでしょうね?

んなことあらへんわ!
褒めたのは本心やで……いや、マジで。

で、トレーニングのコツに戻るけど、運動生理学ではトレーニングの効果上げる7つの原則があるんや。
その7つの原則は何も難しいことやあらへん。あんたら高校生でもちゃんと理解すれば筋トレやランニングをすると気にも役立つんや。

…えぇ、7つもあるんですか…私暗記は苦手なんですけど?

そう言うと思って暗記できるようにちゃんと語呂合わせも作っとるで。
トレーニングの7原則は「おぜぜとけいこ」で覚えるんや。

…美幸、「おぜぜ」って何?

あんた「おぜぜ」知らへんの?大阪の方でお金のことを言う単語や。
漢字で書いたら銭(ぜぜ)。銭(ぜに)から来とる言葉や。

そのとおりやね。
ほなら「おぜぜとけいこ」でまとめた、トレーニングの7原則について説明していくで。
ということで、今回は運動生理学や筋トレの本などでよく見かける「トレーニングの7原則」について説明していきます。
トレーニングはただ闇雲に行えばいいと言うものではありません。
自分のレベルにあっていないトレーニングをしても、しっかりこなすことができずに途中で諦めてしまう、スポーツ障害のような使いすぎによる怪我や故障を引き起こすリスクが高まってしまいます。
トレーニングの7原則はそういったリスクをできるだけ減らし、トレーニングを効果的に行うための原則として用いられています。
また、7原則の内のいくつかの考え方は超回復の理論にも通じるものがあるので、「あ、この考え方見たことあるわ」と感じる方もおられると思います。
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トレーニングの7原則
オーバーロードの原則
トレーニングを行う際は、自分の実力に対してある一定上の負荷をかけないと効果を得ることはできないという法則。
例えば自己ベストを更新するために、インターバルトレーニングで心肺機能・筋持久力を鍛えようとする場合、設定タイムが自分の今の実力よりもかなり低いと、インターバルトレーニングの効果が見込めなくなります。
頑張らなくても楽にこなせる運動強度ではなく、ちょっと頑張ればこなせる運動強度でトレーニングを行うことで、体がその負荷に順応しパフォーマンスが向上していきます。

ハードなトレーニングを行って体が刺激に順応する性質を「ホメオスタシス(恒常性)」と呼ぶ。
もしかしたら、高校の生物の授業でホメオスタシスって言葉を聞いた人は多いと思うけど、実は運動生理学や筋トレの本でも出てくる身近な言葉なんやで。
漸進性(ぜんしんせい)の原則
今やっているトレーニングの負荷に対して慣れてしまうと、同じトレーニングを続けてもパフォーマンスの伸びは鈍くなり、そのうち停滞してしまいます。
これを防ぐには、慣れてきたところでトレーニングの負荷を上げたりや回数を増やしたりして、徐々に刺激を強くしていくことが必要になります。
筋トレならセット数を増やしたりウェイトを増やしてみる、インターバルトレーニングならタイムを縮めることで、トレーニングの負荷を調整することが簡単にできます。

「漸進(ぜんしん)」は、階段を登るように少しずつ進むという意味の言葉。数学の漸化式でも「漸」という言葉の意味をなんとなく覚えている人もいるはずやね。
トレーニングの負荷はだんだん上げていくのが大切と言ったけど、かと言って短期間で一気に負荷を上げたら怪我の元になってしまう。
負荷を上げるときは目安は数週間かけて、出来る範囲でちょっとずつ上げていく。焦りや慢心は禁物なんやで。
もちろん負荷を上げたトレーニングが失敗してしまったら、もとの負荷に戻して様子を見ていくのも大事やね。
全面性の原則
陸上長距離のようにただ走るだけに見えても、実は腹筋や背筋などの上半身の筋肉(とくにからだのコアにあたる体幹の筋肉)を使っており、全身の筋肉を使っているスポーツともいえます。
走るだけだからといって下半身の筋肉ばかりを鍛えるのではなく、腹筋・背筋・腕立て伏せのように上半身の筋肉もバランスよく鍛えることが必要となります。
このように一部の筋肉を鍛えるのではなく、体全体を見てトータルで鍛えて行くことを頭に入れた練習メニューを作っていくようにしましょう。
特異性(とくいせい)の原則
例えば、太ももの筋肉を鍛えたい場合は、当然ながら腕立てや腹筋をするよりも、スクワットをする方が効果があります。
このように、トレーニングをする際には自分が鍛えたい筋肉や伸ばしたい能力にぴったりのトレーニングを選んで行っていくことが特異性の原則です。
また、スクワットだけでみてもセット数や負荷次第では、最大筋力を伸ばすトレーニングにすることも筋持久力を伸ばすトレーニングにすることもできます。
ただスクワットをする際も、自分が最大筋力を伸ばしたいのか、筋持久力を伸ばしたいのか予め考えておき、その目標に合ったセット数・負荷を決めることでトレーニングを効率よくすることができます。
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継続性の原則
トレーニングを1回だけやってもその効果がすぐに得られることはありません。
また、トレーニングの効果は1回だけやってもずっと持続するわけではなく、再びトレーニングをしないと開始前まで戻るという性質をもっています。
トレーニングによる効果を得るためには適度な休息をはさみつつ、継続していくこと、繰り返していくことが必要不可欠です。

トレーニング後は一時的にパフォーマンスが上がるけど、ピークが過ぎると元に戻ってしまうのは超回復の理論で登場した「退行」で説明できるね。
もちろん継続が大切やからといって毎日ハードな練習をすれば疲労がたまって練習の質が下がる、故障の原因になってしまう。
適度に休息しつつ、3ヶ月~1年程度のの長期目線でトレーニングメニューを組み立てて行くようにするんやで。
意識性の原則
トレーニングを行う際は、ただなんとなくやる、とりあえずやってみるのでは、どこの筋肉が鍛えられているのか、このトレーニングでどの能力が伸ばせるのかが分からないままです。
そんな状態ではトレーニングに対する集中力も効率も上がりにくくなるだけでなく、怪我を引き起こす原因にもなってしまいます。
意識性の原則は、文字通り実施するトレーニングのやり方や効果について理解し、常に目的意識を持つ、鍛えている筋肉を意識することを示す原則です。
意識することで集中力を上げてトレーニングの効率を上げる、怪我の予防を防ぐことにつながります。

「(効果や目的なんて)全然わからへん、私らは雰囲気で練習をしている…」なんて状態やったら非常に勿体無い。
部活でよくある
- コーチに言われたから、ただただ練習している
- コーチに怒られないためにとりあえず練習している
- 周りが練習しているからノリで自分も練習している
みたいな状態やと、トレーニングの目的や効果がわかりにくいままやね。
もしも、自分がそんな状態やという自覚があるんやったら、まずは1つでもいいから
- 今の練習でどの筋肉が鍛えられているのか
- この練習を通して自分がどんな能力を身につけたいのか
から意識してみることが始めるんがええね。
個別性の原則
チーム全体で練習を行う場合、全員に同じ内容の練習をさせれば、当然「この練習は自分にとって簡単すぎる」と感じる人もいれば「この練習は自分にとって難しすぎる」と感じる人も出てきます。
トレーニングをする際は、年齢、性別、体重、運動歴、体格、体調、性格、メンタル面などの個人差を理解した上でメニューを作っていくことで、トレーニングの効率を上げることができます。
全体練習の中でも、簡単に感じる人は負荷やセット回数を増やす、難しいと感じる人は負荷やセット回数を減らすようにして、それぞれが最も効果を得られるようにトレーニング内容を調整できるように工夫していきましょう。

スポーツ初心者の人がいきなり強豪校やプロレベルのトレーニングをしてもついていけないのは、ごくごく当たり前のこと。
将来的に「強豪校レベルになりたい!」っていう気持ちに圧倒されて無茶なトレーニングするのではなく、まずは初心者レベルのトレーニングから、コツコツ積み重ねていくのが基本中の基本やね。
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あとがき

トレーニングの7原則は自分で筋トレや走り込むの練習メニューを考える時に役立つ基本的な原則や。
練習メニューを組み立て方をよくわかってない人にありがちメニューの立て方は
- 筋トレやから死ぬほど筋肉に負荷をかければええやろ!
- 走り込みやからとにかく距離を踏めば効果がある!
…みたいな、客観的に見れば一体何の目的で練習しているのかわからないメニュー。
ちなみに、筋トレで負荷を大きくする、走る距離や単純に増やすっていうのは自分がどれだけ頑張っているかが数字でよくわかるから、努力できているという実感がわきやすいのが特徴やね。

せやけどそもそも部活やクラブ活動でやる練習は、ただ自分が努力している実感を味わうためにするんやなくて、自分が乗り越える壁や解決する課題を克服するためにするのが本来の目的のはず。
それを忘れて練習のための練習にならへんように、時々今やっている練習を7原則を使って自分なりに解釈してみる習慣を付けていくとええ感じになるで。

特異性とか漸進性とかて難しい単語で言ってるけど、実際の練習を例にして考えれば、「まぁもっともなこと言っとるなぁ…」ってかんじですもんね。

難しい単語で言っとるけど、よくよく見ていけば案外覚えやすいもんやで。
おさらいになるけど、語呂で覚えるなら
- お:オーバーロードの原則
- ぜ:漸進性(ぜんしんせい)の原則
- ぜ:全面性の原則
- と:特異性(とくいせい)の原則
- け:継続性の原則
- い:意識性の原則
- こ:個別性の原則
で、暗記したらええんやで。

ところで気になったんやけど
美幸は褒められるんは嫌いなんか?

嫌いっちゅうわけちゃいますけど
なんか褒められて浮かれてる姿を見られるんは、恥ずかしいというかなんというか…

美幸、それって私が褒められて
浮かれてる姿がみっともなかったってこと?

いや、そういうわけやないけど…
なんかさぁ、褒められてすぐ喜んだら
なんかチョロそうに見えるから…

それって私がチョロそうに見えるって言うとるん?

う~ん、まぁチョロいかチョロくないかで見ればチョロそうに見えるけど
私は乙女のそういう素直なところ、結構気にいっとるんやで。
別に悪く言っとるわけやないから誤解せんといてや。

なんや、そうやったんか。
よかった!

(…おいおい、乙女はん。ちょっとチョロすぎやしませんかね?
変な男に誑かされへんかちょっと心配になるわ…)

(まぁ、ひねくれとる子よりも素直な子の方が、こっちとしては教えるときに助かるのは事実なんやけどね…。
フィジカル面だけやなくてメンタル面。メンタルトレーニングで褒めるときにも個別性の原則って当てはまるもんやと痛感するわ。)
参考書籍など
イラスト・ストーリー : シロカネ