
[su_box title=”簡単なキャラクター紹介” box_color=”#2fa39f”]

乙女ちゃん。走ることが大好きなランナー。
陸上部で長距離をしている高校1年生。

美幸ちゃん。乙女ちゃんと同級生。
乙女ちゃんがいるという理由だけで陸上長距離を始めた初心者ランナー。

乙女ちゃんと美幸ちゃんを指導するコーチ(大学4年生)。
もとランナーで体育会系だが自称「インテリ」らしい。
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あらすじ
陸上部で長距離を専攻している乙女と美幸、そして2人を指導する大学生の詩織コーチ。
詩織コーチが「2人にとってとても大切な話(意味深)」があると言って練習後に2人を呼び出したが…

今日はあんたら陸上で長距離やっとる女子高生に
めっちゃ大切な話をしようと思うんやけどええか?

…はぁ、別にええですけど…

ほんなら聞くけど、
あんたらちゃんと毎月生理は来とるか?

…はい?
生理?

(いきなり何言ってはんねんこの人…)

なんやその反応?
もしかしてあんたらまだ生理来とらんのか?

そ、そんなわけないですッ!

コーチ!いきなりセクハラは関心しまへんで。
しかも女同士てなんともまぁマニアックな…

セクハラを恐れて生理の話ができるか!
ええか、あんたらみたいな女子高生で体育会系の部活をしとる子には、生理が来えへんなったり、生理不順になったりする子が結構おるんや。
ほんで厄介なんは、生理が来えへんままスポーツを続けてしまうとな、故障したりメンタルに影響が出ることもある。最悪の場合は骨が弱くなって2度とスポーツができなくなることもあるんや。
スポーツをやめたあとでも、車椅子使わんと生活できひんかったりいう感じに後遺症が残ることもあるから、生理が無い事を甘く見たらあかん!
せやから恥ずかしいとか汚いとか関係なく、ちゃんと毎月生理がある事は、スポーツしていく上では大切なことなんやで。

あ、せやけど、普通に
「妊娠しちゃった♥」
という意味で生理が来えへんのはここでは別の話やで

(う~わ、やっぱセクハラやん…)

(コーチ、ひょっとして最近疲れとるんかなぁ…)
…ということで、今回は女性アスリートであれば、知っておきたい生理不順や無月経に関するお話についてまとめていきます。
今後こんな感じに乙女ちゃんや美幸ちゃんには、ちょっと言いにくい話をするための犠牲者話題提供者になってもらいます。
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女性スポーツ選手が抱える生理不順、無月経の話
生理不順は女性ホルモンの減少を招く
女性のスポーツ選手の場合、激しいトレーニングをして体脂肪率が極端に下がることで、生理(月経)の周期が数ヶ月~数年に渡って乱れてしまう、生理不順になってしまう事があります。
また、生理不順に留まらず、生理そのものがなくなってしまう無月経になってしまうということもあります。
では、なぜ生理不順や無月経になってしまうかというと、激しいトレーニングにより女性ホルモン(エストロゲン、プロゲステロン)が不足してしまう事が原因です。スポーツが原因で怒る無月経は運動性無月経と呼ばれています。
なお、女性ホルモンには
- 女性らしいふっくらとした体にする。(=体に脂肪がつきやすくなる)
- 骨を強くする。
- 自律神経の調子を整えメンタルを安定させる。
などの効果があり、美しくなるため、健康のためには必要不可欠なホルモンです。

せやから更年期やと女性ホルモンが減るさかい、イライラしたり骨折しやすくなるわけなんですね。

その通りや。更年期になるとメンタルが不安定になったり骨が弱くなってしまうのは、女性ホルモンの分泌が減ることが原因なんや。

…せやけど、まさか現役女子高生の口から「更年期」っちゅう
単語が聞けるとは思わんかったわ…あんたらには更年期なんてまだまだ先のことやのにねぇ…
体重減=パフォーマンスUPになるスポーツでは生理不順になりやすい。
陸上長距離やマラソンにように、体重が減る事で自己ベストが更新されるという特徴のあるスポーツでは、指導者が無理なダイエットや過度な食事制限を選手にさせてしまうとう事があります。
そうなると、体脂肪率が極端に低くなり、生理不順や無月経に陥るリスクが高まってしまいます。
もちろん、過度な肥満の状態から標準体型に戻れば、健康的に自己ベスト向上につながりますが、標準体型から痩せすぎの体型になると、健康を害してまで自己ベストを更新をすることになってしまい、そのやり方ではいつか破綻してしまいます。
陸上長距離やマラソンに限らず、美しさを求められるバレエや新体操、フィギュアスケートなどのスポーツ。体重による階級や制限のある柔道やボクシングなどのスポーツも同様です。
当然ですが「美しさ=体の細さ」と考えてしまう女子選手や指導者により、健康を損なうほどガリガリのやせてしまっては、スポーツだけでなく日常生活にも悪影響が出てしまいます。
俊敏性や跳躍力の必要なバレーボール、バスケットボールでも、「体重が低い=高く跳べる、身軽になる」という考えから、無茶なダイエットをしてしまうというケースもあります。
スポーツに必要な体や動きのキレを作るために「体を絞る」、つまり余分なぜい肉を落とす事をトレーニングに加える事もあると思います。
その場合は、絞る際には無理のない範囲で絞る、生理不順や体調不良になった場合はストップするというルールを作っておく事が望ましいです。
スポーツをしていく上では体は資本。食事制限や過度な運動でその資本を削るという事は、必ずしも健康が保証されるというわけではない、と考えておきましょう。

部活に限らず男子も女子も今の若い子って
「夏に向けてー!」ってノリで何かに付けてダイエットするんが
当たり前になっとんのも、アカンと思うんですけど。

「やせる=善、太る=悪」みたいな考え方があるからねぇ…。
体重制限のあるスポーツならともかく、体重の数字に一喜一憂すんのは意味の無いことやさかい、自分にとってベストな体重がだいたいどのぐらいなんか知っておくのが大切なんや。
体重なんて人によりけりやけど、1日でプラマイ2kg動くとかザラなんやで。
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生理不順、無月経に無知という事が状況を悪化させることに。
スポーツによる生理不順や無月経が長期間に渡って続くと、女性ホルモンが分泌されない事により、前述のように骨が弱くなり、疲労骨折や骨粗鬆症を引き起こしてしまいます。
メンタル面でもささいなことでイライラしてしまう、やる気や集中力、モチベーションが出ないといった状態になってしまいます。
しかし、こういった問題が実は女性ホルモンの減少によるもの、生理不順や無月経によるものだという事を知らないという選手、指導者は少なくありません。とくに指導者は依然として男性の方が多いということもあって、生理不順などの知識が無いということもあります。
その事が影響して、深刻な事態になるまで病院に来ない。結果として選手生命が途絶えてしまう、引退後の生活に支障が出てしまうというケースも少なくありません。
そうならないためにも、性別関係なく選手、指導者ともに、女性アスリートは女性ホルモンが乱れて生理不順になると、健康にどういう影響が出るかを知っておく事が大切になります。

男性コーチでもいきなり「ちゃんと生理来とるか?」なんて選手に聞きづらいしねぇ…
セクハラやと思われたないから、大切なことやけど聞きたくても聞けへんのはしゃーない。
女性の選手も男性のコーチにこんなナイーブな悩みは打ち明けにくいということも、問題をややこしくしてるんやで。

せやけどいきなり「ちゃんと生理来とるか?」って、どストレートで聞く
女性コーチもそれはそれでどうかと思いますけど…

あとな、人によっては、「ガチでスポーツしてたら生理が無いのは当たり前」みたいな間違った知識で指導をしとることも残念ながらあるんや。
選手のことを考えとるんやったら、引退後の生活に悪影響が出えへんように、しっかり知識を身につけて指導していくことが大切やな。

「スポーツを引退したら体ボロボロになってました…」なんてのは悲惨やからねぇ。
拒食症などの摂食障害を併発する事もある
生理不順になるような過度な食事制限やダイエットをする過程で、食べることそのものを嫌悪して食べ物を受け付けなくなる拒食症や、逆に苦しくなるまで大量に食べてしまう過食症といった摂食障害を引き起こしてしまうケースもあります。
とくに、過食症の場合「たくさん食べているから安心」というわけにはいかず、たくさん食べた跡にトイレに行って食べたものをすべて吐き出す、いわゆる「過食嘔吐」をして、なんとか体重を保っているという事もあります。
こういった摂食障害は女性に多く見られる病気で、「痩せたい…でも食べたい」という板挟みの心理や、「なんとしてでも痩せなければいけない」という恐怖感に駆られて陥ってしまうのが原因と言われています。
過食嘔吐の場合は、食べてしまったという罪悪感を吐くこと解消する、という一連の流れが出来上がってしまうため、「たくさん食べても吐けば大丈夫」と考えてしまうのが非常に困りものです。
スポーツをしている人が摂食障害になる背景には、「体重減=競技力の向上」という考え方や、応援している人や指導者の期待になんとしてでも答えたい、というスポーツで上を目指す人なら誰でも抱えるプレッシャーを背負い込んでしまう真面目な性格が影響していると言われてます。

スポーツをする上では体が資本なのは基本中の基本!
摂食障害になってしまったらスポーツどころではないんやけど
摂食障害になると気分がハイになる事が多いさかい、明らかに痩せていても周囲が気づきにくいという事もあるんやで。

いくら気分がハイでも、しっかり食べるもん食べへんと
いつか体が思うように動かなくなるだけやと思います…。
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スポーツで生理不順、無月経にならないために
生理不順や無月経になるのは、体脂肪を減らしすぎる事による女性ホルモンの減少が原因です。
なので、日頃の練習からできるのは、生理不順にならないように体脂肪率を下げすぎないようにするのが効果的です。
具体的には、練習量の調整や生理不順になってしまうような必要以上に食事(カロリー)制限をしない事が大切になります。また、自分にとって一番いいパフォーマンスができる時のだいたいの体重や体脂肪率を適宜調べていく事も行うと効果的です。
あくまでも、練習は体重や体脂肪率を下げることではなく、試合や大会で自分が望んでいるパフォーマンスや結果を出すために行うもの。練習の目的が、単なる健康を損なうだけのダイエットになっていないか、チェックしていく事が重要です。
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あとがき

練習のしすぎで生理が来えへん状態は明らかに健康によくないっちゅう事をしっかり理解しておくんが大切やで。

あとな、成人女性の場合生理が来なくなる体脂肪率の目安はだいたい15%以下と言われてるんや。
ちなみに、標準的な体脂肪率は22%なんやで。

質問なんですけど、もしも生理不順になったら何科の病院に行けばいいんですか。

基本的には産婦人科やね。

あ~…やっぱ産婦人科に行かなアカンのですか…

もちろん産婦人科に抵抗があるんやったら、スポーツドクターのところに行くってのもアリや。

いずれにせよ「恥ずかしいから」っちゅう理由で
自分の体の悩みを誰にも相談せえへんのはアカンねんで。

まぁ中高生にとってはいきなり病院に行くよりも、
まずは学校の保険の先生に相談するっていうのが、一番やりやすいかもしれへんな。

困ったら相談できる人を見つけて相談するのは大切やからね

せやから、もしも悩みがあるんやったら
私に遠慮せずに言ってくれてもええんやで!

………まぁ、一応考えときます。
参考書籍など
女子選手向けのコーチングのやり方がわかる一冊。もちろん、男子選手のコーチングにも応用できる知識やテクニックも載ってます。
イラスト・ストーリー : シロカネ