
[su_box title=”簡単なキャラクター紹介” box_color=”#2fa39f”]

乙女ちゃん。走ることが大好きなランナー。
陸上部で長距離をしている高校1年生。

美幸ちゃん。乙女ちゃんと同級生。
乙女ちゃんがいるという理由だけで陸上長距離を始めた初心者ランナー。

乙女ちゃんと美幸ちゃんを指導するコーチ(大学4年生)。
もとランナーで体育会系だが自称「インテリ」らしい。
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あらすじ
陸上部で活動をしている乙女と美幸。2人とも今度の大会で女子3000Mにエントリーする事が決まっており、それに向けて練習に励んでいた。
そんななか、初心者ながらも最近の練習に物足りなさを感じている美幸は、コーチに練習内容の変更をお願いをしてみることに…。

コーチ!
最近のトレーニングなんですけど、なんか正直物足りないんで
もっとおもろいトレーニングにしてもらえますか?

ほほ~ん、最近調子ええみたいやね。
せやったら乙女もやっとるインターバルトレーニングをやってみるか?

…あっ。
やっぱ、インターバルトレーニングですか…

なんや美幸?あんた
インターバルトレーニング嫌いなんか?

う~ん、嫌いっちゅうワケちゃいますけど、
なんか乙女がインターバルトレーニングやっとるん見とると、めっちゃしんどそうやし…
私にはまだ早いかなぁ…って

まぁ、速く走るんとゆっくり走るんを繰り返すのは
決して楽とは言えへんなぁ…

インターバルトレーニングは何も難しいもんちゃうで。
他の練習みたいに、まずはできる範囲からちょっとずつ初めてみたらええんやで。

それにな、インターバルトレーニングは心肺機能や持久力を鍛えるさかい、自己ベスト更新にはもってこいや。
私がねっとりと教えたるさかい、なんも心配いらへんで。

(…もしかして「心肺」と「心配」で狙っとる?)

練習時間がもったいないんで、はよ教えてください。
…という事で、今回は陸上長距離やマラソンでお馴染みの「インターバルトレーニング」についてです。
インターバルトレーニングを初めて行う人や、初心者でさらに自己ベストを更新したいという人向けに、詳しい解説&実践する際に役立つ練習の組み立て方について説明していきたいと思います。
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インターバルトレーニングとは?
インターバルトレーニングとは「速いペースで走る」と「ゆっくりスピードで走る(レスト)」を交互に繰り返して行う、持久力を鍛えるトレーニングです。
陸上長距離やマラソンでは、より速いスピードを維持できるために行う、最大酸素摂取量(VO2max)を向上させるために行います。
インターバルトレーニングは、心肺機能、とくに心臓と動脈に強い負荷をかけて、循環器系や呼吸器系を鍛えて、それらの機能を成長させる事がわかっています。
また、インターバルトレーニングでは、実際に目標としているタイムを分割して走ることで、速さに慣れるという、メンタル面を鍛えるという側面も持っています。
なお、この記事では「走る」事をメインにしたインターバルトレーニングを説明していますが、もちろん、水泳や自転車(ロードバイクなど)、階段昇降などの運動でもインターバルトレーニングを行うことは可能です。
実際に陸上長距離では、走ってばかりで足を使いすぎる事による故障を防ぐために、水泳などのトレーニングで持久力を鍛える、体の筋肉をバランスよく鍛えるというトレーニング(いわゆる「クロストレーニング」)を行うという事もあります。

雨が降ってて走れへん日は、代わりにエアロバイクを使ったりプールでクロール、階段の上り下りを繰り返すという練習に変更する事でもOK。
もちろん、スポーツジムにあるトレッドミル(ランニングマシーンのこと)でもOKやけど、いつもと違った動きでも持久力は鍛えられる。
故障時のリハビリにも応用できるさかい覚えておいて損はあらへんで。
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インターバルトレーニングのやり方
基本は早く走る&休む
詩織コーチが書いているように、インターバルトレーニングは「速く走る&ゆっくり走る」を繰り返すのが基本になります。
速く走る距離によって、ショートインターバル(100~200m)、ミドルインターバル(400~800m)、ロングインターバル(1000m~)などの呼ばれ方がありますが、どの距離でも「速く走る&ゆっくり走る」を交互に繰り返すという基本は同じです。
なお、ショートインターバルなら、レストの距離(時間)は短く。ロングインターバルなら、レストの距離(時間)は長く取るというのが一般的です。

レストの時間はショートインターバルなら30秒(もしくは50~100m)。ロングインターバルなら2~3分(もしくは200~400m)が目安。
もちろん、自分の今の実力で距離やタイムは調整するのは基本。1回練習を通して、レストの時間が長すぎて物足りひんかったら、レストの時間を短くしていけばええんやで。
理想としては、後半~終盤にかけて、ペースの維持が難しくなりだんだん足が上がらなくなってくるレベルになるぐらいに追い込むこと。
初心者はまず週1回が目安
今まで普通に走るだけのトレーニングをしてきた初心者にとって、インターバルトレーニングは筋肉や心肺機能に大きな負荷をかけるトレーニングです。
大きい負荷がかかるので、まずは1週間に1回を目安にトレーニングに取り入れることから始めるのがおすすめです。
目標の距離とタイムの決め方
例えば3000mの現在の自己ベストが11分00秒。目標としているタイムが10分30秒の場合は
・1000mを3分30秒で走る & 200mを90秒で走る … を3セット
・600mを2分06秒で走る & 150mを70秒で走る … を5セット
・200mを42秒で走る & 100mを50秒で走る … を15セット
という感じに行っていくようにしましょう。
(※3000mを10分30秒でゴールする場合、平均して1kmあたりのタイムは3分30秒、100mあたりは21秒になるという計算です。)
また、目標タイムやレストの時間、繰り返す回数は一度のトレーニングで決めず、何度か繰り返していく中で見つけていくようにしましょう。
何度か練習を繰り返しているうちに、「このタイムやと後半ばててしまう」「レストが長すぎて余裕すぎる」といった分析ができるようになります。
いきなり無茶なタイム設定を決めてからやるのではなく、何度か試した情報や経験を元に設定するとことで、途中で挫折したり失敗してモチベーションが低下する事態を防ぐことができます。

初心者やと「一気に記録を伸ばしたい!」「仲間の足を引っ張りたくない!」みたいな気持ちから、焦って無茶なタイムや回数をこなそうとしてしまう事が多い。
もちろん、無茶なペースなのであらかじめ決めたタイム通りの回数はこなせへんし、失敗してしまって練習の効果は薄くなってしまう。
そうならへんためにも、まずは焦らへんこと、今の自分のレベルに合ったタイムと回数をきっちり継続していくんが肝心やな。
ちょっと頑張ったら達成できるタイムと回数をしっかりこなしていかんとアカンで。

まずは誰かと比べてやなくて、自分に合ったペースでしっかり練習を続けることに集中するようにしなきゃですよね。
慣れてきたらまず週2~3回で調整
インターバルトレーニングは、負荷の強いトレーニングのために、毎日行ったり連続して行うと故障のリスクが高まります。
インターバルトレーニングに慣れてきた場合、目安としては週2~3回までにしておくのが効果的です。

慣れてきたら、インターバルトレーニングは中2日~4日のペースでメニューに加えるのが一般的。
間の日は軽いジョグや体幹を鍛える日にする。休養日にして疲労回復する、という感じにして1週間の練習メニューを組み立てるのがやりやすいで。

ただ毎日がむしゃらに走るんやなくて、練習にも緩急つける。
つまりメリハリが大切ってことなんですね。
体に大きな負荷がかかるのでやりすぎに注意
負荷が大きいトレーニングは、そう毎日行えるものではありませんし、筋肉や体力がしっかり回復しないうち再び不可の強いトレーニングをしてしまうと、故障のリスクが高まります。
大きい負荷がかかる分、今までのトレーニング以上の効果が見込めますが、初心者の場合はまずは週1回、ちょっと頑張れば達成できるタイムや回数で行うようにしましょう。
また、いくら経験を積んだランナーであっても、インターバルトレーニングを毎日やっていれば疲労回復が遅れて故障の原因になってしまいます。
負荷の高いトレーニングは、効果が大きい分、体へのダメージも大きくなるのは仕方のないことです。ダメージを受けたらその分、体力を回復して疲れを取るようにする事も練習に欠かせません。
もしも、疲労感や筋肉に違和感を感じたら、インターバルトレーニングの頻度を減らしてみて、練習メニューそのものを一度見直してみる習慣を付けるようにしましょう。
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インターバルトレーニングと大会について
インターバルトレーニングで徹底的に練習した設定タイム通りに大会でも走れれば、自己ベスト更新!というイメージトレーニングをしていても、大会では周囲がそのペース通りに走ってくれる…というわけではありません。
陸上長距離の展開でよくあるのは…
・前半はスタートダッシュをかける選手が多いので、集団全体のペースは上昇。
・中盤はスタートダッシュからひと段落して、集団全体が一旦様子見状態になりペースダウン。また、スタートダッシュでオーバーペースになったランナーは集団からだんだん離される。
・終盤は集団の中で「仕掛け」が行われて、中盤にエネルギーを溜めてた選手がラストスパートをかけてペースアップ。中盤遅れていた選手もラストだけペースアップ
…という展開。
インターバルトレーニングは一定のペースを走るトレーニングですが、実際の大会では集団のペースが一定のままという事は滅多になく、波があるのが自然です。
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あとがき

当たり前やけど実際の大会で目標タイム通りに周囲が走ってくれるとは限らへん。
トレーニング通りの目標タイムを狙うのなら、最初のうちは周囲のペースに飲まれてオーバペースにならないように気をつける。
中盤~後半は目標のラップタイムを維持しつつをペースダウンに気をつける。
ラストは余裕があればスパートをかけてみる、みたいな展開を前もってイメージトレーニングでしておくのも効果的やで。

ガンガン勝負を狙える選手ならともかく、私みたいな初心者やったら、
練習でやれたことを大会でもできるように意識してみるんが効果的って事なんですね。

せやね。
自分の実力にあったトレーニングを続けていけば、いずれ上位を狙えるようになる。
初心者やからこそ、まずはできることからコツコツと続けていくようにするんやで。

ちなみにやけど、中盤に落ちてきた選手を追い抜くのは気持ちええで。
あくまでもさりげなく、ちょっと通りますよって感じでナチュラルに追い抜く。
これもまた陸上長距離の醍醐味や。

あ~その醍醐味、なんとなくわかります。

乙女!
あんたも同士か!

コーチと一緒にされるのは、なんかいややなぁ…
せやけど、まぁ一応同士なんは認めます…。

(今度から、この人らよりも後ろを走るようにせなアカンな…。
背中見せたら何されるかわからへんでこれ…おお、こわいこわい。)
参考書籍など
陸上やマラソン以外の他のスポーツにも役立つ、トレーニングの基本が書かれてる超便利本。運動生理学を学ぶのにもピッタリ。
フルマラソン向けの練習がよくわかる一冊。ランニングフォームに関する解説も写真やイラスト多くておすすめです。
イラスト・ストーリー : シロカネ