
[su_box title=”簡単なキャラクター紹介” box_color=”#2fa39f”]

乙女ちゃん。走ることが大好きな陸上長距離専攻の高校1年生ランナー。
走ること以外のスポーツは苦手らしい。球技はとりわけ苦手だとか。

美幸ちゃん。乙女ちゃんと同級生の初心者ランナー。
ぶっちゃけ走る以外のスポーツの方好きだけど、それを専門にやりたいかどうかは別らしい。

乙女ちゃんと美幸ちゃんを指導するコーチ(大学4年生)。
教え子のスク水姿を見るのは今回が初めて。
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あらすじ

コーチ…私ら陸上部ですよね?いくら大会がないとはいえ、なんで温水プールで練習なんすか?

怪我をしているわけでもないですし、普通に走れるのになんでプール?

…まさか私らの水着姿を拝もって魂胆が?

あ~なるほどねぇ…コーチならやりそう。

おいおい、勝手に納得すな!(納得される心あたりはあるけど…)。
下心でプールに来るわけないやろ!常識的に考えて!

いつも走り込んで脚の筋肉を使っているからこそ、今日は背筋とか肩周りの上半身の筋肉を鍛えるためにプールで泳ぎ込もうって、ずっと前から計画しとったんや。

コーチはずっと前からプールの計画を…

そこまでしてプールにこだわるんか…

一応補足しとくけど、プール以外にもドッジボールとかバドミントンとか他のスポーツも練習の候補に入れてました!(キッパリ)

陸上部の練習なのに他のスポーツやるなんて随分フリーダムですね。

そんな練習の仕方で大丈夫なんですか?

そのへんは大丈夫!
むしろオフシーズンの時は他のスポーツをする、「クロストレーニング」をして体をバランスよく鍛えるのが大事なんやで。

バランスよく鍛えるのってトレーニングの7原則の全面性の原則ですよね。

せやね。陸上長距離といっても走るだけが練習やないよね。上半身の筋トレをすることでフォーム維持に必要な筋肉を鍛えとるチームは多い。

陸上長距離みたいな普段から走ってばかりな練習やと、足や膝の故障が起こりやすい。そこで、クロストレーニング練習に入れることで適度に足を休めて故障を防ぐという目的もあるわけや。

たしかに水中やと浮力があるから、陸上に比べて膝への負担が減りますもんね。

そういうこと。
他にも、オフシーズンっちゅうことやしリフレッシュも兼ねて気持ちを切り替える効果もあるね。

というわけやし、今からクロールで泳ぎこむで。

あの~コーチ…どうしてもクロールじゃなきゃダメですか?

…え、乙女はん、ひょっとしてクロールできひんの?

泳げなくはないんですけど、うまく息継ぎがうまくできなくて…

う~ん、せやったらまずは息継ぎの練習からせなあかんなぁ…。

うぅ‥かたじけないです…。

なんも遠慮することやないで。
できひん事は素直にできひんって言えばええんや。教える側としては、ちゃんと相手のレベルを把握したほうが教えやすいんやからね。

まぁ、一日で習得できひんかったら、また定期的にプール練習の日を作ればええんやし。
別に私はそれでもかまへんよ!喜んでみっちり教えたるで!

乙女…頑張って今日だけで息継ぎ習得してや…ホンマに頼むで。

うん…わかった。
ということで、今回は水着回クロストレーニングについてです。
陸上長距離のように基本的に走り込むというシンプルですが単調な練習がメインになるスポーツこそ、クロストレーニングを定期的に行うことはフィジカル面やスポーツ障害の予防の観点から重要とされています。
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クロストレーニングとは
クロストレーニングとは自分が普段から専攻しているスポーツ以外のスポーツをするトレーニングのことを指します。
例えば、陸上長距離を専攻しているのなら今回の漫画のように水泳の他にも、自転車や球技、ラケット種目などのスポーツを行うという具合です。
一般的な運動部や体育会系だと、陸上部なら陸上の練習(走る、跳ぶ、投げる等)、野球部なら野球の練習と、そのスポーツに特化したトレーニングをするのが普通であり、導入されているチームは多くありません。

普通の陸上部でわざわざ走る以外の練習するときってだいたい故障のときぐらいですよね…。

まぁ、限られた練習時間の中であえて陸上と直接関係無いと思われる練習をする方が珍しいのは認める。せやけど、あえてクロストレーニングをするのにはそれなりの理由があるんやで。
クロストレーニングの目的
普段鍛えにくい筋肉を鍛える
クロストレーニングの大きな目的の一つとして、普段の練習では鍛えにくい筋肉を鍛えて全身をバランスよく鍛えるというものがあります。
陸上長距離のように下半身をとくに使うスポーツをしている場合、上半身(肩・腕・腹筋・背筋など)の筋肉が十分に鍛えることができず、フォームに影響が出るといった問題が発生します。
そこで、上半身の筋肉を使うクロストレーニングを普段の練習に取り入れることで、上半身の筋肉をバランスよく鍛え、フォーム改善へと繋げることができます。

クロストレーニングは普段鍛えにくい部分を鍛えて、フィジカル全体の底上げをするのが大きな目的やね。この辺の話はトレーニングの7原則の全面性の原則でも出てくるね。
怪我や故障の予防
陸上長距離のように下半身の筋肉を酷使するスポーツは、脛が痛むシンスプリントや、膝が痛むランナーズニー、足の疲労骨折など、足に関する故障が他のスポーツと比較して多くなります。
このように、体の特定の部分の使いすぎによる故障はオーバユースと呼ばれており、クロストレーニングにはオーバユースを未然に防止するという目的で行われることも多くあります。

普段から使ってる筋肉を休めつつ、全身をバランスよく鍛えるクロストレーニングは一石二鳥というわけですね。

水泳やったら浮力が働く分膝とかの足の関節の負担も減るから、普段から走り込むランナーにとってはまさに骨休めをしつつ体をバランスよく鍛えられるっちゅうワケや。
リフレッシュなどのメンタル面での切り替え
オフシーズンなどでしばらく試合や大会がない場合に、メンタル面で切り替えるためにクロストレーニングを行うことがあります。
これは気分を切り替える、リフレッシュなどの目的で行われているものであり、純粋に体を動かすことを楽しむために行われています。

スポーツって本来は楽しいからやるもんですよね…義務感とか、責任感やなくて…
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クロストレーニングのやり方
普段使っていない筋肉を使うトレーニングを取り入れる
全身を鍛える&オーバユースの予防のために、クロストレーニングでは普段の練習で鍛えられていない部分を鍛えるようなスポーツを選ぶようにします。
例えば…
- 陸上長距離:水泳、野球、ラケットスポーツ(テニス、バドミントン)などで上半身を鍛える。
- 水泳:ランニング、ウォーキングなどの骨や関節に負荷(重力)がかかるスポーツ。
- 野球、テニスなど上半身を使うスポーツ:サッカー、ランニング、サイクリングなどの下半身を使うスポーツ。
- 競技時間が短いスポーツ(短距離走など):ゆっくりとしたランニング、ウォーキングなどの全身持久力を鍛えるスポーツ。
- 競技時間が長いスポーツ(長距離走など):短距離走や投擲種目、野球など瞬発力を使うスポーツ
というように、全身をバランスよく鍛えたり、専門外の能力が必要なスポーツを練習を計画しましょう。

おおまかに言うと、「普段から下半身を使ってるなら上半身」「上半身を使ってるなら下半身」のスポーツをやるという感じやね。もちろん、ある特定のスポーツに絞らず、筋トレやウェイトトレーニングをでもOK。

なお、ここであげたクロストレーニングは、故障時のリハビリとしても応用できる。色々試してみるのがええね。
頻度は週に1~2回程度にし、あくまでも補助的な練習として行う
クロストレーニングはあくまでも専攻しているスポーツの補助的な練習として行うのが基本です。
目安としては1週間で1~2日回程度。メイン練習の日に疲れが残らない負荷を目安にした練習量になるように調整しましょう。

オフシーズンやからといって、クロストレーニングばかりになってしまうと今度はクロストレーニングで使った筋肉が故障…なんてことになったらあかんからねぇ。
専攻しているスポーツに活かせるテクニックがないかを探ってみる
クロストレーニングとして他のスポーツに取り組む際は、自分が専攻しているスポーツやその練習に活かせるテクニックなどがないか、意識しながら行ってみると効果的です。
普段やらないスポーツを通すことで、試合に役立つ戦術やプレースタイル、練習法やトレーニングのテク、他のメンバーの持ち味や強みなどが発見できれば、専攻しているスポーツにも役立てることができます。
また、年齢関係なく一つのスポーツにこだわらず、複数のスポーツを経験することは、全身の運動神経を鍛えることにつながり、より幅広いスポーツを楽しむことができるという効果も期待できます。

若いうちから一つのスポーツに打ち込むのもええけど、とりあえずいろんなスポーツをやってみて自分に合うスポーツを楽しめるようになるのも大事なことやね。
あとがき

たまには陸を離れて水の中で体を動かしてみるのもええかんじっすね。
ガチで泳いでみると陸で走るよりも結構ハードな練習にもなりますもんね。

膝や足を故障したランナーがリハビリで泳ぐことはよくあるからね。
走れへんときはクロールなり平泳ぎとかで体を動かしておくのも立派な練習やね。

…まぁ、まさか息継ぎから教えないアカンことまでは流石に予想してへんかったわ。

でも、今日でちゃんとできるようになったからひとまず安心です。
コーチ!ありがとうございます

そんぐらい、ええよ、ええよ。流石に息継ぎできひんまま大人になって、どっかで溺死されたらコーチとしては悔やむに悔やまれんからな…ほんま安心したで。

日本みたいな海に囲まれた国だと、最低限泳げないとダメですよね…あはは‥

せやけど、今までプールの授業はどうしてやたん?

クロールで25mぐらいならそんなに息継ぎしなくてもなんとか泳げてました。

その経験が心肺機能を鍛えるのに役立ったんかもしれへんな。

さよか…あんた今までよく死なへんかったなぁ…

でも、ちゃんとクロールのやり方をマンツーマンで教わったのて今回が初めてな気も?

息継ぎのやり方をちゃんと習ってへんのやったら下手なのは無理ないね。
スポーツでも勉強でも、やり方を基礎からやったらできるようになることはあるからね。
せやから、できひんことがあってもそれを恥ずかしいとか情けないとか思わんで、まずは相談してみるのは大切やね。

ホンマですね。
人間歳を重ねると意地張って、出来ひんことでも出来るって言い張る場面、多いですもんねぇ…

(そんな人生論語る女子高生、初めて見たような気がするで…)

でも、私だって誰にでも相談するわけではありませんよ?
コーチなら信頼できると思ってるから相談してるんです!

相談しろって言うても、相手とか相性はありますもんねぇ…。相談できる人が周囲におらへんと辛いですし。

せやね。話しやすい相手とか、ちゃんと説明がうまい人を選ぶのは大事やね。

まぁ~わたしが相談しやすい相手やってことは、それだけあんたらから親しまれてることやと受け取っておくわ。

そうですね。コーチって良くも悪くも大学生らしくないですし。

一つ年上の先輩みたいな感じがして接しやすいです!

(…う~ん…これは、素直に喜んだほうがええんやろか?
悩みどころやな…)
参考書籍
絵・ストーリー:シロカネ